最高裁判所第三小法廷 昭和37年(オ)1336号 判決 1963年12月24日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
上告人は金一万円を国庫に納付せよ。
理由
上告人の上告理由について。
しかし、甲第一号証の作成経過についての所論のような事情は、証拠上、何ひとつうかがえない。所論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨選択事実の認定を非難するにすぎず、到底、採用しがたい。
記録に徴すれば、本件第一審では、各口頭弁論期日に双方代理人出頭し、第一回弁論期日(昭和三六年一二月九日)に訴状、答弁書に基き陳述して上告人(第一審被告)は被上告人(第一審原告)の請求原因事実を争つたため甲第一号証、第二号証の一、二の証拠調をし上告人においていずれもその成立を認め、第二回弁論期日(同三七年一月二四日)においてとくに証拠調などもせずに弁論が終結され、最初に指定された判決言渡期日(同年二月一四日)は職権で延期となり、二度目に指定された言渡期日(同年三月一二日)に被上告人の請求認容の判決が言渡され、上告人の控訴にもとづく原審では、各口頭弁論期日に双方代理人出頭し、第一回弁論期日(同三七年六月二七日)において第一審判決の事実摘示のとおり口頭弁論の結果が陳述され、第二回弁論期日(同年七月二五日)において他に主張立証がない旨陳述されて弁論が終結され、判決言渡期日(同年九月七日)に控訴棄却の判決が言い渡されたことが認められる。以上認定した訴訟の経過と本件上告理由の内容にかんがみるときは、本件上告は上告人が訴訟の完結を遅延せしむる目的のみを以てこれを提起したものと認めることができるから、当裁判所は、上告人に対し本件上告状に貼用すべき印紙額の一〇倍以内である金一万円を国庫に納付すべきことを命ずるのを相当と認める。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、三九六条、三八四条の二に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 横田正俊 裁判官 石坂修一 裁判官 五鬼上堅磐)
《当事者》
上告人 興国農機株式会社
右代表者代表取締役 米倉順道 同 西山広喜
被上告人 五十鈴鋼材株式会社
右代表者代表取締役 鈴木 実
右訴訟代理人弁護士 中野富次男 三枝基行